[大賞] 地球の環境を守り持続可能な生活を生み出す器 うづら(精成舎)
受賞プロジェクト
地球の環境を守り持続可能な生活を生み出す器 うづら(精成舎)
受賞団体
株式会社224(精成舎)
受賞代表者
辻 諭
デザイナー
a studio 安積 伸
プロジェクト概要
窯業は元来、山を削り、石や土を掘り、焼成の際に二酸化炭素を排出する産業です。
地球環境に負荷を与える代償として生み出すべき物の価値とは何なのか、真剣に考えなければならない時代が来ています。次世代に向けて私たちは何を為すべきなのか、1年をかけて研究を行い、環境負荷の低い新たな素材と製造法を開発しました。この新陶土の名前を「晟土」(せいど)と名付けました。晟という文字は、明るく輝くという意味を持ちます。
この土が吉田焼、ひいては日本の窯業にとって明るい未来をもたらすものとなるよう、祈りを込めました。この素材は一般の磁器に比べ1.5倍の強度を持ち、焼成時に排出する二酸化炭素量も通常の磁器製造より40%削減されています。さらにこの素材では、製造における不良率の低下にも取り組んでいます。
通常の磁器製造では、テップンと呼ばれる黒い点や、釉薬の気泡による小さな穴(ピンホール)があいたものは検品基準を満たさない2級品とされ、高い技術を持つ窯元であっても約10%の不良品が排出されます。
今回開発した素材は予めテップンを混ぜる事で、その表情を特徴としています。さらに、釉薬をかけずに焼いても汚れがつかない仕様になっており、良品率99%を達成しました。この土が次世代のスタンダードとして、広く世界に受け入れられる事を目指します。
特徴
- 一般の磁器に比べ1.5 倍の強度
- 焼成時に排出する二酸化炭素量は通常の磁器製造より40%削減
- 通常、約10%とされる不良品が1%以下
パネルデザイン

スライド
ホームページ
審査委員講評(馬場 正尊)
美しいプロポーションと機能との絶妙な融合。完成度の高いフォルムを実現する職人技。強度や独特の質感を生み出す高い技術力。無駄を出さない循環社会へのメッセージ。そして、吉田焼を地域全体で、次の時代へ運ぼうとする強い意思。それらすべてを小さな器に凝縮したこの作品は、大賞にふさわしい。歴史に残るスタンダードデザインの名作にさえなり得る。