[優秀賞] デザインで小さなビルを文化の拠点に 徳久ビル
受賞プロジェクト
デザインで小さなビルを文化の拠点に 徳久ビル
受賞団体
対対/tuii
受賞代表者
田中 淳
デザイナー
伊藤 友紀
プロジェクト概要
徳久ビルは、佐賀市松原にある、築47 年の小さなビルです。1 階に「nowhere・tuii books」という本屋兼カフェ、おにぎり屋「shiroishimori」、2階は服飾雑貨の店「ある晴れた日に」が入り、3 階は私たちデザイン事務所tuii のオフィスとミーティングルームになっています。
2019 年にこのビルを見つけて場所のポテンシャルを感じ、当時文房具屋を営まれていたオーナーのもとに何度も通って、20 年以上空いていた3 階の部屋を借りることに。壊れていたトイレをリノベーションすることからビルの再生がスタートしました。デザインが入ることで今まで重なってきた歴史とともにビルの魅力が引き立ち、翌年は2 階にお店が入り、2022 年にはオーナーが文房具屋を閉められるタイミングでtuii が1階全体を借りて、リノベーション。カフェとおにぎり屋が入ってくれることになりました。同時に長年の夢だった本屋をカフェの奥に作ろうと考え、カフェ店主に協力してもらい、運営のサポートや店番をお願いすることでデザイン業との両立が可能になりました。おにぎり屋はもともとデザインのクライアントで、開店準備に加えて、開店後のサポートもさせていただくことになりました。
こうして、ビルのリノベーションとデザインを起点に人が集まり、現在の「徳久ビル」ができ、今、関わってくれる人たちの力で、佐賀には数少ない文化の拠点として育ち、輪郭を持ち始めています。
特徴
- 建物が持つポテンシャルをデザインで引き出す
- 人が場所の魅力になっていく
- お金が循環し、続けていける仕組み作り
パネルデザイン

スライド

ホームページ
審査委員講評(三木 悦子)
築47年の建物に魅了され、ビルのオーナーを口説き落とすことからスタートしており、人との関係性が希薄になりがちな現代において、その出発点から建物を通した人とのつながりで構築・運営・展開している点が面白い。建物のポテンシャルを場づくりのデザインを通して高めると同時に、人を介した関係性によってこれまでなかった新たな文化発信拠点としても機能しており、ここから広がっていく創造性が期待でき、この地の未来が楽しみである。